
保育園を運営している中で、卒園した子どもたちがどのように育ち、幸せに過ごしているのかが気になっていました。卒園後の子どもたちの状況を知る機会は、卒園して6年後の地域小学校卒業式に参加する時です。昨年の卒業式で、卒園児の名前が呼ばれても姿が見えず、校長先生に尋ねると途中から学校に来られなくなっていることが分かりました。
地域のスーパーで卒園児の保護者と出会うと、いろいろな話を聞き、「保育園に話をしに行きたいけれど、何か機会がないと…」という声も多く聞かれました。
また、保護者の就労状況の都合で学童保育に行けない子や学校に行けなくなる子がいることを知り、家庭と学校以外の第3の居場所として、卒園児や地域の子どもたちが大人と出会える場所を作りたいと思いました。子どもにとっても、大人にとっても、人との触れ合いを求めている人が多いと感じます。
子ども食堂をやりたい思いはコロナ前からありましたが、部屋がないし、どうやってやればいいのか分からないという状況で行動に移せずにいました。今年度に入り、地域の方からも「子ども食堂を保育園でできないのか?」という声をいただき、近隣の子ども食堂を見学し、多くの子どもたちが利用していることに驚きました。


私たちの地域でも、こうして子どもたちが集まれる場があれば、卒園児たちが学校に行けなくなることや、困っていることを相談する人がいないという時に、家庭と学校以外の第三の場所として保育園の子ども食堂に集まり、大人と関わることで、子どもたちに多くの可能性が広がるのではと感じました。見学した翌日には「いろんな方法はあるからやってみよう!」と決意し、準備を進めてオープンいたしました。


参加してくれる子どもたちや、運営する私たち大人たちにとっても、幸せな出会いと場所を作りたいと思っています。
保育園ではご飯を大切にしており、食べた物で身体が作られると考えています。月一回の子ども食堂では、保育園児に提供している食事で大切にしている思いを地域の子どもたち、卒園児たちにも提供します。卒園児が保育園に戻ってくると、「保育園の今日の給食何だった?」と聞かれ、「食べたかった!」と言われることが多いです。食がコミュニケーションの一つとなっています。


保育園では高級なものではなくても、温かいものを温かく、旬のいろいろな食材に触れてほしいという願いを持ってご飯を作っています。


季節感も大切にし、節分には巻き寿司、ひな祭りにはちらし寿司など、日本の食文化も子どもたちと楽しみたいと思います。巻き寿司を巻く様子やふりかけをすり鉢で作る様子を子どもたちに見せることも楽しいでしょう。


子ども食堂では、保育園で大切にしているご飯への思いを地域の子どもたちにも提供し、地域の子ども、卒園児、地域の大人、保育園スタッフが集まり、居心地の良い場所を作りたいと考えています。
